日本の住宅工法には様々な種類があります。構造は大別すると木造、S(鉄骨)造、RC(鉄筋コンクリート)造の3つ、さらにそれぞれに2~3種類の工法が存在します。これほど多様な工法が存在する国は珍しいとも言われています。選択肢が多いのは嬉しい反面、工法によっては金額に大きな差があったり、希望の間取りが入らなかったりもします。希望の建物を建てるにはどの工法が適しているのか…。悩まれている方のために代表的な工法の特徴をみてみましょう。
木造軸組(在来)工法
日本に存在する工法の中でも最も古い工法です。木材でつくられた柱や梁などの軸材を組み合わせ、床・壁・屋根を取り付けていきます。少し前まではほとんどが現場作業であったため、仕上がりは大工の腕に左右されましたが、最近では工場での木材加工が主流となり、その差は無くなりつつあります。
柱と柱の間に入る「筋交い」と呼ばれる斜めの部材や、これらをつなぐ「金物」が耐震性能を負担しているため、この二つの量やバランスによっては、大きな開口部を設けるなど比較的自由度の高い設計ができ、増改築も容易にできます。また敷地への対応度も高く、狭小地や変形地でも建築が可能です。
日本で長く採用され、最も普及している工法ですので、風土によく適していると言えます。多くのメーカー・工務店が主軸にしている工法で、他工法に比べコストが抑えられます。工期は現場の大工の技能次第で3~6ヶ月で施工できます。
木造枠組壁(2×4)工法
北米で最も主流の工法で、断面寸法が2×4インチの基本材で枠を組み、そこへ構造用合板を張って壁をつくります。材料寸法や釘などが規格化されているため合理的かつ大工の技量に左右されにくい工法とも言えます。
柱で支える軸組工法とは違い、面(壁)で家を支えます。壁が構造体となっているため、構造上の制約が多くなり「大きな開口部を設けられない」「部屋の大きさが決まってしまう」など、設計の自由度が低いです。規格化され特殊な設計ができない反面、施工が容易なため工期が比較的短くなります。(工期目安2.5~4ヶ月)
鉄骨軸組工法(軽量鉄骨造)
大量生産を目的として誕生した工法です。厚さ6ミリ以下の鋼材で柱や梁などの構造体を構成し、木造軸組工法の筋交いと同様の「ブレース」と呼ばれる斜め材が入ります。
工業化された部材を使用しますので、安定した品質が期待されます。溶接は工場で行われ、現場ではボルトを固定するだけなので工期が比較的短いのが利点です。(工期目安3~4ヶ月)
部材の寸法が決められているため、規格外の設計計画が出来ません。鉄素材は木に比べ耐震性には優れている反面、熱を伝えやすく、また結露が発生しやすいです。コストは人工材のため安定していますが、比較的割高になります。
重量鉄骨ラーメン工法
厚さ6ミリ以上の鋼材を使用し、柱、梁などが一体になった工法で、剛接合により固定します。軽量鉄骨と違い、現場で溶接作業が行われるため、不良を起こさないためにも熟練職人の腕が必要になります。
構造体としては非常に頑強なので、大空間を設けるなど、自由な間取りづくりが可能です。一方で、部材が大きいため限られた空間では内側へのでっぱりが目立ったり、空間が小さくなったりしてしまうため小規模建物の建築には向いていません。併用住宅やマンションなどで採用されることが多い工法です。
建物自体が重くなるため、強固な基礎を作る必要があり、その分コストが割高になります。また軽量鉄骨と同様、熱伝導率が高く結露が生じやすいのが難点です。
鉄筋コンクリート(RC)造
鉄筋を組み合板の型枠をはめ、そこへコンクリートを流し込み、柱・梁・壁・床などの躯体をつくる工法です。コンクリートと鉄筋それぞれの強さが合わさり、強度、防火・耐久性に優れた部材になります。
ただし、コンクリートの配合次第で強度に差が出てくるので注意が必要です。実際の作業はほとんどが現場で行われるため、天候などに左右されやすく、施工精度を出すことが非常に難しいのです。またコンクリートは畜熱量が大きいため、夏は暑く、冬は寒くなりがちという特徴があります。
型枠次第でどんな形にもできるため、設計の自由度は非常に高く、デザイン性の高い建築で好まれます。また用途に応じてラーメン構造と壁式構造どちらにも対応できます。
部材が大きく重量があるため、施工現場に充分な空間がないと運搬が困難であったり、施工自体ができない場合もあります。また工期が6~8か月と長く、価格も他の工法と比べダントツに高くなります。以上のことから戸建ての建築にはあまり向いておらず、中高層のビルや集合住宅で採用されています。
いかがでしたでしょうか。一言に家を建てると言っても、建て方でメリットやデメリットがあります。長く住む家だからこそ住みやすい家を作りたい。株式会社ウエスタではライフスタイルやライフプランに合わせた建て方をご提案させて頂きます。