前回の変動金利の話に続き、今日は固定金利と固定期間選択型金利について。
まず固定金利の仕組みは変動金利と比べて単純です。名前の通り借入開始当初の金利が返済終了まで変わりません。そのため返済額が計算でき、将来的なライフプランニングが容易となります。
一方で、変動金利よりも高い金利となっているので、借入当初の返済額は変動金利よりも高くなります。例えば主要銀行の2017年4月の金利を見ると、変動金利で0.625%~、固定金利で1.120%~(変動、固定ともに引下げ金利適用の金利)となっています。
以上を踏まえると、固定金利は「現時点で返済に余裕があり、さらに今後のライフイベント(結婚・出産、子供の進学など)による出費が比較的少ない方」に向いている金利タイプだと思います。また、今後の金利の動向を予測し、継続的にリスク管理を行うのが苦手な方にも向いています。
さて、もう一つの金利タイプ固定期間選択型はどうでしょうか。
この金利タイプでは、当初2年、3年、5年、10年などの期間を選択し、その期間は固定金利、期間終了後は変動金利となります。商品によっては再度固定金利を選択することもできます。
変動か固定かで悩まれた方が、とりあえずしばらくの返済計画が立てやすい固定期間を選択して、のちに改めて検討…とされるようですが、この金利タイプにはここにしかメリットがないように思います。
確かに固定期間中は安定した返済ができますが、期間終了後に再度固定金利を選択できると言ってもその時の金利状況がどうなっているかがわかりません。
また再度金利タイプを選択する際は、借り入れ当初よりも適用される金利の引下げ幅が小さくなり、ほとんどの場合で金利が上がってしまう点に注意が必要です。
再選択の際にどちらを選ぶにしても、当初より金利が高くなってしまうのでは元も子もありません。
また「とりあえず金利の低い変動金利を利用し、金利が上がってきたら固定金利に変更」という方法をとられている方もいます。
が、実はこれもリスクのある作戦です。
と言うのも、金利は一般的に固定金利の方が先に上昇する可能性が高いからです。
そもそも、それぞれの金利がどのように決定されているのか。
まず変動金利の指標となっているのが、“短期プライムレート”と言うもの(一部金融機関を除く)。これは、金融機関が優良企業向けに短期で貸し出すときに適用する最優遇貸出金利(プライムレート)のことです。短期プライムレートは政策金利の影響を受けて上下します。
一方、固定金利は主に国が発行する10年物国債(長期国債)の利回り基準などの“長期金利”が目安とされています。この長期金利は、景気の動向や将来的な物価変動などの予測を含み変動します。
重要なのは…
短期プライムレートは“影響を受けて”変化する、
長期金利は“今後の予測を踏まえて”変化する、という点。
これが先述した“固定金利の方が先に上昇する可能性がある”仕組みです。
「変動金利が上がってきたなぁ」と感じてからでは、固定金利は既に上がり始めていると思われます。
実際にこの作戦を利用している・考えている方は、変動金利の指標=短期プライムレートと合わせて、固定金利の指標=長期国債の利回りや物価・景気の動向にも注意するように気を付けてください。